04年5月30日 更新

PAGE  POP  No.2  No.1




平沢 進 / 救済の技法
NIPPON COLOMBIA / TESLAKITE COCP-30019
平沢 進 / Sim City
POLYDOR POCH-1510
平沢 進 / 時空の水
POLYDOR HOOP 20343




 人に平沢師匠のアルバムを勧めるなら上の2枚。どちらもアルバムトータルで聴くとバランスが最高です。タイ・ショックによって製作された5th「Sim city」はとことんまで平沢的アジアンポップスを追及してると思うし、7th「救済の技法」は音の派手さ、バラエティが最高潮に達した1枚だと思います。
 5thは平沢師匠の音楽人生過程において、おそらく最大級のインスパイアをもってして作られたアルバムなのでベストといっても良いんではないでしょうか。やはり、作らずにはいられない状態で作られたものはとても良いものです。しかしながら、これだけのショックだったのにそれまでの作風から完全に脱線することなく、ちゃんと個人のカラーは強く残してる。これがアクの強さの一端か。
 7thは1曲目に尽きる。個人的に平沢師匠の好きなところが超高密度で詰まったこの曲。派手、疾走感、馬鹿コーラス、ひねくれギター。最高だ。「庭師KING」というやはり平沢師匠の音楽過程の中で「出るべくして出た名曲」もあり、これで作風に一段落打った感のある名アルバムです。
 1st「時空の水」は全く知らない人がいきなり聴くにはクセが強いと思われますが、やはりソロのスタイルを1枚目できちっと作り上げていて素晴らしい。P−MODEL時代に諸事情で完成できなかった曲が補完されてるのですが、全く違和感なし。というかやはりP−は平沢のことなのだ、と認識する。
 上から98年、95年、89年。

P−MODEL / 音楽産業廃棄物〜P-MODEL OR DIE
TESLAKITE / MAGNET MAGL-5002
P−MODEL / 電子悲劇/~ENOLA
NIPPON COLOMBIA / TESLAKITE COCA14673
P−MODEL / Perspective
TOKUMA JAPAN 27WXD-119




 12th「音楽産業廃棄物」11th「電子悲劇」は現在活動停止中のP−最後のメンバー構成によって作られたアルバムです。
 11thは「テクノで泣きのメロディ」というのが感想。反面アレンジは派手に。P−の数あるアルバムの中でも一番装飾された音のアルバムではないでしょうか。バンドサウンドを求める古くからのファンには辛い音なのかもしれない。
 12thはMP3配信を最初から計画していて(日本のアーティストとしては初)データ量を少なくするために音数、曲の長さに配慮したそうです。音がちょっとチープさを持って、逆にテクノとしては好感触でした。個人的には平沢師匠より小西和尚の良い仕事が目立ったように思います。
 4th「Perspective」はいわゆる凍結前のアルバム。打ち込みではなくバンドの音。ビルの階段の残響音を利用したドラムの音が激烈です。狂ったようにリフを奏で続けるキーボードも素晴らしい。メロディと歌詞のシンクロ率も一番高いんではないでしょうか。私は「個人間のコミュニケーションの恐怖」と受け取ってますがいかがでしょうか。「perspectiveU」は空間恐怖症と対人恐怖の対比かな?って。
 上から99年、97年、82年。

至福団 / 致富譚
DIW SYUN SYUN-012
 4Dの小西健司とINUの北田昌宏のユニット。なんと言っていいやら。コラージュを多用しつつ、プログレ的な展開を持つテクノ?実に劇的な展開と音で飽きません。作られたのは85年とかその辺ですが、CD化された96年に聴いても全く遜色なし。いや、半ば腐れかけたテクノに嫌気がさしてた人には新鮮だったのでは。テープのときの「貴女が聴いたのは、この音ですか?」がカットされててちょっと残念でした。

ムーンライダース / ANIMAL INDEX
PONY CANYON PCCA-00595
ムーンライダース / マニア・マニエラ
PONY CANYON PCCA-00294


 長いバンド暦のなかでも一番テクノ色が強いここらへんが好きです。全てのアルバムを聴き込んでるわけではないので異論もありましょうが私的意見ですので。
 「マニア・マニエラ」は初めてシーケンサーなんかを導入して、その刺激だけで完成させたアルバムだったとインタビューで読んだ記憶があります。テクノポップというよりインダストリアル、工場とか共産主義的なイメージが先にきます。秀逸な歌詞のせいかもしれない。「薔薇がなくちゃ生きていけない」は名文句。
 「ANIMAL INDEX」は何故だか好きなアルバム。さほどテクノポップでもなくひねくれてもいないと思うんですが、アルバム全体の空気、どっかしらにつきまとう閉塞感とか焦燥感が気持ちいいのかもしれない。
 上から85年、82年。

立花ハジメ / TAIYO-SUN
MIDI MDC7-1006
立花ハジメ / MR.TECHIE & MISS KIPPLE
ALFA ALCA-9133


 テクノとは様式、形式のことではなく、ミュージシャンの姿勢のこと。というのを教えてくれた人です。1stとか、ギターとサックスがメインのアルバムがなんでテクノなのか聴いて感じてる自分で解りませんでしたが、まごうことなきテクノ。どちらのアルバムもキャッチーなフレーズ満載で非常に解りやすいうえにスリリング。独特のドラミングパターンで煽ってくれます。ライブでバスドラムがずらっと横に10個くらい並んでてそれを電磁石を利用して動くキックペダルでバスンバスン鳴らしてたのは圧巻でした。そんな手作り楽器とか、空気圧シリンダーを使ってあらぬ方向に動く「ダンス養成ギプス」を身につけて蠢いてる様はかっこよすぎ。
 アルバムとしては4th「TAIYO−SUN」が彼の頂点だと私は思ってます。ポップさとテクノのバランスが最高潮のアルバムです。その後何回もリアレンジされる「MODERN THINGS」も初出。CM、TVなどで曲が頻繁に使用されてたので聴けば「あ!」と思うこと間違い無し。あ、「MR.TECHIE-」は3rd。
 上から85年、84年。

SOFT BALLET / MILLION MIRRORS
VICTOR VICL-340
SOFT BALLET / DOCUMENT
ALFA ALCA-38


 日本にボディビートを広めたバンドでしょう。
 2nd「DOCUMENT」は前作より音色のバリエーションが増えてるのでトラック毎の展開が楽しめます。流石に先行シングルの「NEEDLE」程のインパクトのあるアレンジはなかったものの、それまでの日本のミュージシャンのアレンジにではあまり聴かないインダストリアルな音がふんだんに使われ刺激的でした。3rdではさらにポップさを増しオリコンTOP10にも入るわけですが、ここで4th「MILLION MIRRORS」で陰鬱な音世界を披露するわけです。「表面上のファンを排除した」とは藤井氏の言葉ですが、その点ではYMOの「BGM」にあたるのでしょうか。遠藤さんのVoに低音と艶っぽさが加わり、曲もよりノイズ的な接近がみられて、個人的には喜びました。近年再結成されたわけですが、遠藤さんのヴォーカルは「ENDS」を経ているためロック色が強くなって、音的にも劇的な変化はなくてちょっと残念。いっそノイズを出せ。と言いたい。
 上から92年、90年。

新居昭乃 / そらの庭
VICTOR VICL-60043
Goddess in the Morning / Goddess in the Morning
biosphere ZA-0009


 アニメソングで人気ですね。「そらの庭」は2ndアルバム。個人的には寺嶋民哉さんのアレンジが好きで、このアルバムがベストです。彼女自身のアレンジもかなり個性的で、他人への提供曲で、後にセルフカバーした「さかさまの虹」のコーラスとかシンバル系の音なんか気持ちいいです。
 「Goddess〜」はYAYOIとのユニットです。収録曲「Flower Crown」は御伽噺的名曲です。スローアタックのギターも心地よい。
 3rd以降どんどん私の好みからは離れていってしまってるのですが、それでも追いかけてしまうミュージシャンの一人です。RADIOHEADがお好きらしいのですが、ならばもっとプログレ的な接近も見せて欲しいな。
 上から97年、96年。

FAIR CHILD / YOURS
PONY CANYON D32A0391
Shi-Shonen / Singing Circuit
TEICHIKU TECN-18756


 日本のテクノを語る上ではずせない戸田誠司さんがらみの2バンド。SHI-SHONENはバリバリのテクノポップ。FAIR CHILDはアイドルポップをシミュレートしたテクノポップ。
 SHI−SHONENの恥ずかしいくらいのテクノロジカルな歌詞が微笑ましいです。でもそれに相応しいメロディと音色が心地いいです。テクナポップらしい無駄を削ぎ落としたアレンジも絶妙。メンバーは同時に「リアルフィッシュ」なんてジャズめいたバンドもやってました。こちらのアルバム「A very bigband in Heaven」もかなりの名盤です。
 「FAIR CHILD」は今や著名なタレントのYOUをヴォーカルにした3人組。4thくらいからほんとにポップグループっぽくなってしまいましたが、3rdまでは胡散臭さが残ってて良かった(笑 騙されろ、みたいな。メロディメーカーとして戸田さんはやはり物凄い。
 上から88年、85年。

高橋鮎生 / MEMORY THEATRE
MIDI 35MD-1008
 えもいわれぬ不可思議な空間なのは特徴あるヴォーカルによるのでしょう。はっきり言うと上手くはないのですが、でもこのヴォーカルでないと絶対にダメです。「光の中へ」なんてただの良い曲、で終わってしまいます。なんかどこかに不安要素が隠れてる凄い世界にはならないんです。85年。

ショコラータ / ショコラータ
KING RECORD KICS8034
 後にCMソングでもちょっと知られた、かの香織ヴォーカルのバンドです。坂本龍一「未来派野郎」の「大航海」のイタリアンオペラヴォイスの人と言ったほうが通りがいいかな?イタリアンポップにテクノ風味。アレンジでムーンライダースの白井良明氏も参加。確実な歌唱力ってのはかくも力のあるものである。バッキングの妖しさも数段跳ね上がる。実にシンプルで抑えられたアレンジなんですが全体のトーンがまとまってる。85年。

細野晴臣 / S・F・X
TEICHIKU TECN-18758
 やっぱりアナログ盤の「Body snatchers」の日本語ヴォーカルは最高だ!「触手ヌルヌル」とかいう歌詞他に無いぞ。長い間CD化されなかったのが悔しかったものです。そんなことより、音はとても刺激的なテクノです。ファンクのノリを思いっきり入れてるのでグルーブが凄い。かと思うとミニマルな構成のテクノもあったり、銀河鉄道的な曲もあったりでテクノ2枚目にしてこんなのを聴いてしまった私は今に至ってるのです。84年。

URBAN DANCE / URBAN DANCE
P-VINE PCD-1342
 ちょっと陰鬱なアレンジ(ベースが印象的)、低いヴォーカル。ニューロマンティック一歩手前で踏みとどまってるのは硬質なビートによるものでしょうか。当時としてはインダストリアルな音でかなり刺激的でした。ソフトバレエの森岡氏もライブで関わってたりして、あっちにも良い影響があったんではないでしょうか。プロデュース高橋幸弘。85年。

ピチカートV / オードリィ・ヘプバーン・コンプレックス
TEICHIKU TECN-22333
 デビュー12インチ。メジャーになる前ですね。Vo.が違う女性です。ウィスパーヴォイスなのでこちらの方が私は好みです。不協和音のピアノがなりつづけるアレンジがかなり強烈で、かすれたヴォーカルがのるととても不安な音で気持ちいいです。、そこからの急激にポップになる落差も。85年。

越 美晴 / パラレリズム
ALFA ALCA-379
 女性ヴォーカルのテクノポップとしては最高の1枚でしょう。この人の曲に細野晴臣のアレンジは最強です。意識的に可愛らしく唄われてるヴォーカルにこれでもかって程のテクノポップ・サウンド。耽美なメロディ。特に表題曲の完成度は凄いです。これを聴かずしてテクノポップは聴いたと言えません。アルファのオムニバス「We wish you a merry christmas」収録の「Belle Tristesse 妙なる悲しみ」も押さえておかなくちゃいけない曲です。84年。